電子ピアノで練習しても大丈夫?アコースティックピアノとの違い
更新日:10月14日
ピアノ教室に通うことになったとき、最初にどんなピアノを買えばよいのかと迷われる方は多いと思います。すぐに買い替えられるものではないだけに、電子ピアノとアップライトピアノのどちらにするか、電子ピアノならどの機種を選ぶかで悩むこともあるでしょう。
どちらにしても、まずお伝えしたいのは電子ピアノとアコースティックピアノそれぞれにできることの違いです。電子ピアノをすでにお持ちで、アコースティックピアノも気になっている方も、ぜひお読みください。
はじめにお伝えしたいこと

電子ピアノはとても画期的な楽器です。日本の住宅事情ではグランドピアノやアップライトピアノを置けないことも多く、趣味としては初期費用も高いというハードルを下げてくれます。自宅で気軽にピアノを弾き、たくさんの人が音楽に親しめることは、良いことだと思っています。
ここからは、ご自身やお子さまが深く音楽を理解し、感性やテクニックを伸ばしていくことを想定した話をします。アコースティックピアノで表現力豊かな演奏を追求したいという目標を持つ場合の考え方として、ご自身の意見と比べながらお読みください。
ピアノの種類
ピアノは大まかに、グランドピアノ、アップライトピアノ、電子ピアノの三つに分けられます。
グランドピアノ

コンサートホールや学校の音楽室にある大型のアコースティックピアノです。弦の長さが長く、ピアノの種類の中で最もよい響きが得られるよう設計されています。
アップライトピアノ

家庭用の箱型のアコースティックピアノです。グランドピアノより場所を取らず、家の中に置きやすいのが利点です。省スペースのために弦を垂直方向に張り、響板を背面に取り付けています。
電子ピアノ

名前の通り電子楽器の一つです。アコースティックピアノの録音された音を、スピーカーから鳴らす仕組みです。YAMAHA、KAWAI、Rolandをはじめとする各メーカーが、タッチや音質にこだわって改良を重ねています。
この三つのうち、グランドピアノとアップライトピアノは弦が振動するアコースティックピアノ、電子ピアノは録音された音をスピーカーから鳴らす楽器で、構造が大きく異なります。
電子ピアノとアコースティックピアノの違い
音の出る仕組み
アコースティックピアノは、鍵盤を押すとハンマーが弦を叩き、それで音が出ます。その音が響板に伝わって広がり、ほかの弦が共鳴することで、豊かな響きが得られます。
一方、電子ピアノには弦も響板もありません。鍵盤を押すと一つ一つが音を出すボタンの役割を果たし、録音された音がスピーカーから鳴ります。音質は機種によって異なり、ランクが上がるほど、より良い録音をより良いスピーカーで鳴らせます。
タッチ
アコースティックピアノのアクションは複雑で、1つの音を出すために70〜80個もの部品が連動します。これが繊細なタッチを生み、同じメーカーやモデルでも、1台ごとに音色やタッチが異なります。
電子ピアノの鍵盤は、構造がそこまで複雑ではありません。技術によってアコースティックピアノに近いタッチをつくり出しており、最新の機種では木製鍵盤やアコースティックの鍵盤機構を取り入れたものもあります。ただし多くの機種では、アコースティックピアノと同じとは言えない大きな差があると感じます。
音色で表現できるか
アコースティックピアノでは、弾き手の打鍵の個性が音色に反映されます。同じピアノでも、弾く人によって違う音が出ます。繊細に打鍵を捉えて反応してくれるので、音色表現には無限の可能性があります。また、鍵盤を強く叩きすぎると雑音の多いキツい音になるため、手のフォームを改善したり、耳で聴きながら力加減を調節したりします。
電子ピアノは録音された音なので、誰が弾いても基本的に同じ音で鳴ります。響きのよい音しか鳴らないため、音への意識が希薄になりがちです。機種によっては強弱の差が大きく出たり、逆にほとんど出せなかったりして、欲しい音をうまく引き出せないこともあります。アコースティックピアノで弾いたときに差が出やすいのは、この音色の違いの影響が大きいと感じています。
電子ピアノでは上達しないの?
電子ピアノでまったく上達しないということはありません。より良い演奏を目指すなら、ピアノのレンタルなどでアコースティックピアノを弾く感覚を補うことができます。アコースティックピアノの響きに慣れ、どんな音が出るかを感覚的に覚えられれば、普段の練習は電子ピアノでもよいでしょう。
ただし、プロのピアニストやコンクールでの上位入賞を目指すなら、アコースティックピアノに触れる時間を長くしないと難しいと思います。
電子ピアノにしかない利点
ここまで電子ピアノに厳しいことを書きましたが、私自身は、アコースティックピアノと電子ピアノを併用しています。電子ピアノにしかない利点があるからです。
時間を気にせず弾ける
大きな特徴は、音量の調節ができることと、ヘッドフォンが使えることです。音取りや指番号の確認といった譜読みの作業は、電子ピアノでも問題なくできます。鍵盤とペダルの音以外は周囲に聞こえないので、ヘッドフォンを使えば、時間を気にせずに弾けます。
音色を様々に設定できる
ピアノ以外の楽器の音で弾くこともできます。機種によっては数百種類の音が入っており、ヴァイオリンやトランペット、パーカッションなど、さまざまな楽器の音で楽しめます。バッハをチェンバロの音で弾いたり、コラールをコーラスの音で弾いたりと、身近に聴く機会の少ない音に触れることで、発想が広がるかもしれません。
録音機能やメトロノームが付いている
多くの電子ピアノには録音機能があり、気軽に自分の演奏を聴けます。自分の録音に合わせて弾く、ひとりデュオも可能です。メトロノームも内蔵されていることが多く、ボタン一つで使えます。
ご家庭の環境と目的で選びましょう

ピアノ本来の響きを味わうことが目的の方にとって、アコースティックピアノと電子ピアノは、見た目は似ていてもまったく別の楽器と言ってよいほどです。ただ、ご家庭の予算や住宅環境によって、アコースティックピアノを置けるかどうかは変わります。電子ピアノが劣り、アコースティックピアノが優れているということではなく、それぞれの良さを知り、目的に合った選び方をすることが大切だと思います。
電子ピアノで練習している場合も、ピアノ教室に通えば、先生と相談しながら演奏の方法を考えられます。どうぞお気軽にご相談ください。




